唐沢岳東尾根 2008年4月26日〜28日 by石原

山行報告のページ スレッドNo.4

No.67 New! by 石原(admin) [58.1.117.239] 2008/05/18 (Sun) 07:12

IMGP3363.JPG ←ちょっと早いが岩小屋に泊まる

4月26日(土)
「こりゃ珍しいとこさいくねえ。熊がでるよ。雪、全然ないよ」
計画書を出したとき、大町の駅で登山指導員のおじさんから言われた。そのおじさんの助言もあり、七倉ダムの下の広場に行くと、出だしの勾配は緩やかで、取り付くには全然問題ない。
タクシーに別れを告げ、準備をしていたら、200mほど下流の河原を熊がのたのた歩いている。登山体系に記載通り、かじか荘から取り付いていたら、至近距離で出くわしていたであろう。熊よけの鈴は持ってきていないので、ラジオを鳴らしながら行こうかと思ったが、電波が入らない。そのまま出発。6時半だ。
広場の横にあるダム管理用の階段を登る。その階段は熊の糞だらけで、危うく踏みそうになる。ときおり「ホー」と叫びながら登る。階段の先は滝ノ沢という沢で、すぐに行き詰まる。そこから右方向に登ると、尾根に出た。多少の踏み跡らしきものはあるが、道というほどではない。雪のない獣道などを登るが、結構な藪こぎだ。
かなり上ってやっと雪渓がでてきた。たちまち足がずぶずぶめり込む。ここでスパッツを付ける。下の方に七倉ダムの青い湖面が見える。この調子で雪のない尾根をいくのだろうか。10時、1660m峰に達する。登山体系の解説では、ここまで7時間。相当速い。
1660m峰からの降りは、藪こぎというよりは、藪乗り。藪が密集しており、登り返すのは不可能だ。登り始めは晴れていたが、雲が次第に増え、時折雨が降り始め、合羽を着る。天気予報では、今日は午後から雨。明日の昼まで続くだろう。コルからさらに歩をすすめ、12時前に本降りとなったところで格好の岩小屋を見つける。大分早いが、ここで泊まることにする。
暇だ。この調子だと、この山行はあっという間におわる。大天井岳までとか槍とか、はたまた北鎌などへ足を伸ばそうとか、今から思えば荒唐無稽な案がでてくる。食事をすませて3時に就寝。

No.68 New! by 石原(admin) [58.1.117.239] 2008/05/17 (Sat) 08:56

IMGP3404.JPG ←予定外の雪璧が出てきた

4月27日(日)
目覚めると5時半。すでに明るい。雨もあがって晴れ間が見えている。7時半出発。出だしは相変わらずの藪こぎだったが、そのうち雪量も増え、ゴールデンウィークらしくなってきた。しかし、歩きづらい。雪の表面はクラストしていて一見固いが、雨が続いたせいかその下はとけてスカスカになっており、一度踏み抜くと腿まで潜ってしまう。反対の足で体重を支えて抜こうとすると、そちらの足もずぼずぼと埋まる。それで、最初の足でまた踏ん張ろうとするとさらに足元は崩れる。というような状態で非常に歩きづらい。体力の消耗が激しいし、何より気分が滅入る。
いくつかのアップダウンを繰り返すと、前方に巨大が岩壁が、尾根右側のヨタ沢側に落ちている。高度差300mはありそうだ。この壁へのアプローチは遠いせいか見たことがない。しかしアプローチが遠いと言えば、甲斐駒のフランケなどその嚆矢であろう。それにくらべればここは楽ではないか。触ってみたらボロボロかもしれないが、ここから見る限りでは、すっきりしているようだ。
その壁の手前のコルでアイゼンを装着する。登山体系では、左に上ってくる野口沢側を登ると書いてあるが、どうも不自然だ。そのまま進むと20mほどの雪壁の上に、ブッシュに覆われた、左上するルンゼが見える。残置ロープも見えているのでルートに違いない。10時前、石原リードで取り付く。ルンゼは容易ですぐに尾根に出る。本来、ここでピッチを切るようだが、ロープに余裕があるので、壁の下を右上し、木の根が出ている段差をあがってビレイ。畑、そのまま木の根をつかみながら10mほどあがり、尾根の上に消えると、まもなくビレイ解除のコール。フォローすると、稜線に出た。
雪稜がアップダウンしながら続いているのが見える。登山体系にあった第二の核心、雪璧ドームはどれだろうか。尾根はいくつもこぶ状になっていてどれがどれだかわからない。あとから考えると、あれかなと思われる急峻な場面があるにはあったが、とりたててどうということもない。尾根上は陽があたり、ラッセルがきついので、日陰になっている野口沢側の雪田を主に進んでいき、右上すると、急峻なリッジとなった。再度左の雪田から巻けないかと思ったが、この角度だと上部は切り立っているおそれがある。
13時半、ロープを出す。石原リードでブッシュをつかみながら登る。小さな雪田部に出るが、そこから上部は潅木のまばらな壁となり、傾斜がさらにきつくなっている。左をみると、別の痩せ尾根が見える。雪を掻き分けて覗き込むと間のルンゼは幅5mくらいで、バンドが走り、潅木もある。スノーバーを1本突き刺し、トラバースして痩せ尾根にでる。畑、そこから直上し、20mほどでビレイ解除のコール。フォローするも、思ったより潅木は細く、簡単にペキペキ折れるのをだましながら登る。畑はエスケープした壁の頭の手前でビレイしている。壁は上からみるとほぼ垂直で、雪田部から直上するとかなり厳しかったと思われる。すでに2時半だ。左の野口沢側は、ゆるい傾斜でこの尾根に競りあがってくる。わざわざ急なリッジを登ったことになるのだろうか? 
しばらく行くと尾根は広がって再び傾斜を増している。ここで、雪は最悪の状態。体が丸ごと底なし沼にめり込んでいくようだ。畑、石原に代わって左から登ろうとするが、同様にもがくだけで全然高度を稼げない。すでに3時近くになっているので、20mほど引き返した窪みで幕営する。

No.69 New! by 石原(admin) [58.1.117.239] 2008/05/17 (Sat) 09:11

IMGP3429.JPG ←やっとこさ唐沢岳の頂上

4月28日(月)
5時10分出発。時折足を踏み抜くものの、昨日に比べてさすがに雪は締まっている。最初の傾斜を登り、樹林帯を抜けると、雪田が広がり、眺望が開けてくる。稜線に出てさらに尾根を行く。右手から唐沢岳北尾根が競りあがってくる。合流地点は2460m峰だ。そこから前方に丸い唐沢岳の頂が見える。頂上には6時半到着。
頂上を離れるとすぐに樹林帯となる。アップダウンを繰り返して樹林帯を抜ける。広い雪田が完璧にクラストしており、歩きやすいが、傾斜が急で少々怖い。ジグザグに上り詰め稜線に出る。「展望台」と書かれた木が雪に半分埋まっている。左方向に尾根が続いている。餓鬼岳は、手前から頂上に向かう稜線が盛り上がっている。それを忠実にたどり、頂上の標識に到着する。
さて、これからどうしようか。風が強いので、頂上から西の餓鬼岳小屋に下る。小屋は驚くほど小さく、ほとんど雪に埋もれている。トレースでもないかと期待していたのだが、おそらく我々がこの積雪期で初めての訪問者だろう。計画書では、東方向の大凪山に向かうか、南西方向の東沢岳を経由して東沢乗越から中房温泉に降りるかいずれかとした。このペースで東沢から降りるとすると、もう一泊必要だ。乗越からの出だしの急坂の雪崩も怖い。それに何より、ロートルの我々にとって体力的にきつい。
夏道は餓鬼岳南側斜面についているようだが、雪崩れそうなので、再度餓鬼岳の頂上を経由する。快晴で日射がきつく、気温が高いせいか、足がずぼずぼとめり込む。尻セードの方がよほど楽だ。しかしこれも傾斜があればこそ。樹林帯に入り、傾斜がなくなると歩くしかない。このあたりの尾根歩きがこの山行中では最悪だった。踏み抜いた足が抜けなくなり、リュックを降ろして辛うじて抜く。体ごと埋って足は宙ぶらりんとなる。雨で下の雪が解けてなくなっているのだ。ちょっと固いところがあっても安心できない。油断してもしなくても、すぐにずぶずぶと潜る。後続で歩いていても先頭の踏み跡が崩れる。何で?
輪かんがあるとよかったかもしれないが、なかったのでわかんない。
へとへとになりながらやっとの思いでとあるこぶに出ると、大凪山頂と書かれた標識が刺さっている。白沢堰堤(白沢登山口)はそこから右を指している。ほっとしたのも束の間、おやっと思った。地図では白沢登山口方向は東北東の方角なのに、その標識の指す向きは南なのだ。前方は真東方向で尾根。ルートは、むしろ尾根の左の沢ではないか。迷った挙句、尾根をそのまま行くことにする。尾根は小さく、左右どちらに行っても合流するのではと考えたからだ。しかし、尾根はそのまま前方で盛り上がって山になっている。やむなくそこから左方向に降る。尻セードでかなり滑ったら、砂利交じりの雪渓で埋った沢にでた。なおもその雪渓を降り、いくつかの段差をずり下ると、水が流れている。水量は次第に増えて川となり、雪渓の下を流れている。ちょっとまずいと思って一旦高巻こうと提案するも、畑、何事もないかのようにブッシュをつかみながらスタスタと降りていく。その下まで先行した彼は、しかし引き返してくる。
「滝?」
と聞くとうなずいている。左岸のやさしいルンゼに逃げる。さらに降ると、大きな滝が出現する。50mロープを折り返し25mぎりぎりの懸垂。再び滝が現れる。落ち口は右から雪渓に埋もれた別の沢に潜っている。右岸から微妙なバランスで雪渓に降り立つ。前方はやや大きめの川への出合い。対岸に道。
出合いから上流方向へ、道は雪渓の中に消えている。下流へは、流れに沿って、木道や梯子を架け、山を削ったワイルドな登山道が続いている。両岸に山が迫ってくるような狭い渓谷だ。左岸から右岸、右岸から左岸に、何度も木橋を渡る。下流の方で一箇所、なぜか10mほどの梯子型の橋が左岸の岸に転がっている。二人で力をあわせて起こし、川に向かって倒すと立派な橋となった。
渓谷もひろがって広い河原となり、景色も平坦となった。4時過ぎ、白沢登山口に到着するが、携帯電話のアンテナが立たない。もう少し歩こう。

Res Form

お名前、メッセージ(本文)、パスワードは必須記入項目です。

返信フォーム
お名前
メールアドレス
ウェブサイト
投稿内容
アイコン
文字色
メッセージ(?)
パスワード
添付ファイル

下記フォームからスレッドNo.4内の記事を修正・削除することができます。

修正・削除

記事No.

  1. 東京YCC
  2. 山行報告のページ
  3. 唐沢岳東尾根 2008年4月26日〜28日 by石原